宜野座キャンプ初日、東スポ取材班のキャップから相談されました
「楊枝さん、ぶっちゃけこのキャンプでは一番、誰を見たいですか?優先させますんで選んでいただいていいですか?」
フリーライターの僕にお伺いを立てていただけるなんてありがたい話です。
それなら、ということで
「僕は佐藤輝明を見たいな」と即答しました。
スポーツ新聞の世界に入り初めて取材を経験したのは1999年でした。
高知・春野で行われた西武の春季キャンプです。
もう古い話ですが、横浜高から平成の怪物・松坂大輔が入団したときです。
それはそれはいい経験をさせていただきました。
松坂が初めてブルペンに入ったとき
捕手を務めた中島聡さん(現オリックス監督)が「パンッ」と小気味のいい音を立てて受け止めた場面を今でも忘れません。
まだまだキャンプ序盤、立ち投げから投じた1球でとんでもないポテンシャルが
いやでもわかりました。
そして佐藤輝です。
打撃練習が始まるのが楽しみで
キャンプオープニングのセレモニーからずっと同じ席で見ていました。
もう、何年もプロ野球の取材をしてきていますので
ドキドキとかワクワクとかは別にありません。
普通に客観的に見ていました。
ずっと打球を追いかけ凝視するというよりスイングする姿
打球の軌道など全体を視界に入れておくイメージで眺めます。
すると、すぐに違和感に気づきました
あんなこすった当たり、あんな詰まった当たり
外野の定位置より前に白い影が落ちてくると予想している脳を裏切り
予想する落下地点から遥か枠外に落ちてきます。
これはヤバいバッター入ってきたなと
打撃練習のボールを遠くに飛ばす競技ではないのは承知の上です
これはプロでコツを掴まれたらピッチャーが投げるところなくなるかもな
そう感じずにはいられませんでした。
難しいことを書いてもアレなので
常人の常識を超えたレジェンド打者の方々の多くは
無限の引き出しを持っています。
左右、どんな投げ方、どんな軌道、どんなスピードでも
こう体を動かせばこのボールの軌道にバットがこういう角度で入り
こういう風に打球が飛んでいくということを、脳みそが勝手に判断して打ってしまいます。
それだけの記憶力と再現能力、身体能力、練習する努力が備わってのことです。
そこにプラスして圧倒的に筋力が強ければとんでもなく遠くに飛んでいきますし
それでなくてもプロに入るような体を持つ人なら
コツを使えばスタンドに打球を運ぶのは難しいことではありません(あるレジェンド曰く)
イチローさんを若い頃も、晩年も目の前で見ていますが
スリム(とは言っても大きいですが)な体型からは予想だにしない初速、角度、飛距離の打球を見せてくれます。
何年かしたら恐ろしいことになるかもしれないな
その最初を見られてよかったな
そう思ったのが佐藤輝を最初に見た感想です。
でも、新聞記者なんて所詮は素人です。
何年も見てきて目だけは肥えてますが、予想なんて大々的に言ってみても
大外れで恥ずかしい思いをするのが関の山です。
だから、いつも後付けで話すので「結果見てからなら誰でも言えるよね」と言って笑っておきます。
正直、未来は誰にもわかりません
だから楽しみなのであって
そんな気持ちを持ちつつ
東スポにこんなコラムを書かせていただきました。
こちらからどうぞ
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